季節の英訳のしかた
2009年 10月 27日
旧暦に基づく日本の本来の春夏秋冬の区分は、
・春: 立春~立夏
・夏: 立夏~立秋
・秋: 立秋~立冬
・冬: 立冬~立春
であり、新暦(グレゴリオ暦)でだいたいの月日を表すと、
・春: 立春(2/4)~立夏前日(5/4)
・夏: 立夏(5/5)~立秋前日(8/6)
・秋: 立秋(8/7)~立冬前日(11/6)
・冬: 立冬(11/7)~立春前日(2/3)
となる。
これは、気温上昇や気温下降の変化にほぼ対応しており、気温の下降傾向が上昇傾向に転じる時点が春の始まりである立春となっている。同様に気温の上昇傾向が下降傾向に転じる時点が立秋になっている。
暦の上では四季のそれぞれの季節をさらに、初・中(仲)・晩の三つの期間に分けて
初春: 立春~啓蟄
中春: 啓蟄~(春分)~清明
晩春: 清明~立夏
初夏: 立夏~芒種
中夏: 芒種~(夏至)~小暑
晩夏: 小暑~立秋
初秋: 立秋~白露
中秋: 白露~(秋分)~寒露
晩秋: 寒露~立冬
初冬: 立冬~大雪
中冬: 大雪~(冬至)~小寒
晩冬: 小寒~立春
としている。ここに挙げた啓蟄とか芒種というのは、季節推移の目安を一年で一周する太陽黄経を15度ずつに24等分するという天文に基づく方法(定気法)によって定めるものであり、正確に太陽に準拠した最も完璧な太陽暦。
他方、西洋において季節は気温の上昇や下降といった変化現象よりも、気温の高い低いという状態だけで季節をとらえる。だから、西洋の季節区分は、
・Spring: 春分~夏至 ⇒March1~May31
・Summer: 夏至~秋分 ⇒June1~August31
・Autumn: 秋分~冬至 ⇒September1~November30
・Winter: 冬至~春分 ⇒December1~February28
である。こうして見ると、旧暦に基づく東洋の四季観と西洋の四季観とは全く異なることが分かる。表にすると
太陽黄経 東洋 西洋
315° 立春------------ Winter
330° 雨水 初春 February
345° 啓蟄 ------
0° 春分 春 中春 -------- March
15° 清明 ------
30° 穀雨 晩春 April
45° 立夏------------ Spring
60° 小満 初夏 May
75° 芒種 ------
90° 夏至 夏 中夏 -------- June
105° 小暑 ------
120° 大暑 晩夏 July
135° 立秋------------ Summer
150° 処暑 初秋 August
165° 白露 ------
180° 秋分 秋 中秋 -------- September
195° 寒露 ------
210° 霜降 晩秋 October
225° 立冬------------ Autumn
240° 小雪 初冬 November
255° 大雪 ------
270° 冬至 冬 中冬 -------- December
285° 小寒 ------
300° 大寒 晩冬 January
315° 春分------------ Winter
春、夏、秋、冬という言葉の指す時期と、Spring, Summer, Autumn, Winter という言葉の指す時期がほぼ一季節の半分ほどずれている。
以前、私はこの相違をたんに季節に対する考え方の違いとして、初春、中春、晩春の英訳を単純に日本語的発想でEarly Spring,Mid Spring,Late Springのように考えた。しかし、Spring 等々の語の意味が上に見たようにこう違うのであれば、Early Spring, Mid Spring, Late Spring などの語句の意味は、Early Spring≒March(∴中春)、Mid Spring≒April(∴晩春)、Late Spring≒May(∴初夏)を意味することになってしまう。つまり、季節の観点から見ると
初春≒Late Winter
中春≒Early Spring
晩春≒Mid Spring
初夏≒Late Spring
中夏≒Early Summer
晩夏≒Mid Summer
初秋≒Late Summer
中秋≒Early Autumn
晩秋≒Mid Autumn
初冬≒Late Autumn
中冬≒Early Winter
晩冬≒Mid Winter
という対応関係になる。しかし、初春の訳語には Spring の語を強引に用いた訳語を考えてみたい。そうするなら、初春を「春の初め」という意味でではなく、「春の予期」という意味にとらえ、The Expectant Spring としてみてはどうだろう? 続いて中春は春分によって象徴されるので Around Vernal Equinox(春分頃)。さらに、晩春は英語の Spring 真っ盛りということを考え、Flourishing Spring (春の盛り)。秋も同様。
中夏と中冬に関しては夏至頃、冬至頃を意味する単語として Midsummer, Midwinter という語がある。夏至や冬至は西洋の季節観念からすれば Summer, Winter の始まりのはずであるのに、Midsummer, Midwinter なのである。なぜか夏至と冬至だけは東洋の季節観念に似ている。そこでこの語を用いると、中夏は Around Midsummer, 中冬は Around Midwinter と訳せる。
以上をまとめると
初春:The Expectant Spring
中春:Around Vernal Equinox
晩春:Flourishing Spring
初夏:The Expectant Summer
中夏:Around Midsummer
晩夏:Flourishing Summer
初秋:The expectant Autumn
中秋:Around Autumnal Equinox
晩秋:Flourishing Autumn
初冬:The Expectant Winter
中冬:Around Midwinter
晩冬:Flourishing Winter
この英訳が、今のところ最良に思われる。
・春: 立春~立夏
・夏: 立夏~立秋
・秋: 立秋~立冬
・冬: 立冬~立春
であり、新暦(グレゴリオ暦)でだいたいの月日を表すと、
・春: 立春(2/4)~立夏前日(5/4)
・夏: 立夏(5/5)~立秋前日(8/6)
・秋: 立秋(8/7)~立冬前日(11/6)
・冬: 立冬(11/7)~立春前日(2/3)
となる。
これは、気温上昇や気温下降の変化にほぼ対応しており、気温の下降傾向が上昇傾向に転じる時点が春の始まりである立春となっている。同様に気温の上昇傾向が下降傾向に転じる時点が立秋になっている。
暦の上では四季のそれぞれの季節をさらに、初・中(仲)・晩の三つの期間に分けて
初春: 立春~啓蟄
中春: 啓蟄~(春分)~清明
晩春: 清明~立夏
初夏: 立夏~芒種
中夏: 芒種~(夏至)~小暑
晩夏: 小暑~立秋
初秋: 立秋~白露
中秋: 白露~(秋分)~寒露
晩秋: 寒露~立冬
初冬: 立冬~大雪
中冬: 大雪~(冬至)~小寒
晩冬: 小寒~立春
としている。ここに挙げた啓蟄とか芒種というのは、季節推移の目安を一年で一周する太陽黄経を15度ずつに24等分するという天文に基づく方法(定気法)によって定めるものであり、正確に太陽に準拠した最も完璧な太陽暦。
他方、西洋において季節は気温の上昇や下降といった変化現象よりも、気温の高い低いという状態だけで季節をとらえる。だから、西洋の季節区分は、
・Spring: 春分~夏至 ⇒March1~May31
・Summer: 夏至~秋分 ⇒June1~August31
・Autumn: 秋分~冬至 ⇒September1~November30
・Winter: 冬至~春分 ⇒December1~February28
である。こうして見ると、旧暦に基づく東洋の四季観と西洋の四季観とは全く異なることが分かる。表にすると
太陽黄経 東洋 西洋
315° 立春------------ Winter
330° 雨水 初春 February
345° 啓蟄 ------
0° 春分 春 中春 -------- March
15° 清明 ------
30° 穀雨 晩春 April
45° 立夏------------ Spring
60° 小満 初夏 May
75° 芒種 ------
90° 夏至 夏 中夏 -------- June
105° 小暑 ------
120° 大暑 晩夏 July
135° 立秋------------ Summer
150° 処暑 初秋 August
165° 白露 ------
180° 秋分 秋 中秋 -------- September
195° 寒露 ------
210° 霜降 晩秋 October
225° 立冬------------ Autumn
240° 小雪 初冬 November
255° 大雪 ------
270° 冬至 冬 中冬 -------- December
285° 小寒 ------
300° 大寒 晩冬 January
315° 春分------------ Winter
春、夏、秋、冬という言葉の指す時期と、Spring, Summer, Autumn, Winter という言葉の指す時期がほぼ一季節の半分ほどずれている。
以前、私はこの相違をたんに季節に対する考え方の違いとして、初春、中春、晩春の英訳を単純に日本語的発想でEarly Spring,Mid Spring,Late Springのように考えた。しかし、Spring 等々の語の意味が上に見たようにこう違うのであれば、Early Spring, Mid Spring, Late Spring などの語句の意味は、Early Spring≒March(∴中春)、Mid Spring≒April(∴晩春)、Late Spring≒May(∴初夏)を意味することになってしまう。つまり、季節の観点から見ると
初春≒Late Winter
中春≒Early Spring
晩春≒Mid Spring
初夏≒Late Spring
中夏≒Early Summer
晩夏≒Mid Summer
初秋≒Late Summer
中秋≒Early Autumn
晩秋≒Mid Autumn
初冬≒Late Autumn
中冬≒Early Winter
晩冬≒Mid Winter
という対応関係になる。しかし、初春の訳語には Spring の語を強引に用いた訳語を考えてみたい。そうするなら、初春を「春の初め」という意味でではなく、「春の予期」という意味にとらえ、The Expectant Spring としてみてはどうだろう? 続いて中春は春分によって象徴されるので Around Vernal Equinox(春分頃)。さらに、晩春は英語の Spring 真っ盛りということを考え、Flourishing Spring (春の盛り)。秋も同様。
中夏と中冬に関しては夏至頃、冬至頃を意味する単語として Midsummer, Midwinter という語がある。夏至や冬至は西洋の季節観念からすれば Summer, Winter の始まりのはずであるのに、Midsummer, Midwinter なのである。なぜか夏至と冬至だけは東洋の季節観念に似ている。そこでこの語を用いると、中夏は Around Midsummer, 中冬は Around Midwinter と訳せる。
以上をまとめると
初春:The Expectant Spring
中春:Around Vernal Equinox
晩春:Flourishing Spring
初夏:The Expectant Summer
中夏:Around Midsummer
晩夏:Flourishing Summer
初秋:The expectant Autumn
中秋:Around Autumnal Equinox
晩秋:Flourishing Autumn
初冬:The Expectant Winter
中冬:Around Midwinter
晩冬:Flourishing Winter
この英訳が、今のところ最良に思われる。
by yui-yayoi
| 2009-10-27 21:20